こころざし課題図書(平成20年7月度)
昨日は、平岩小中学校でロケット教室を行いました。6年生のクラス27名で参加してくれました。11月1日の講演を小学生用にした45分間の植松さんのお話しのあと、約90分使って、ロケットを作りました。みんなでわいわい言いながら、自分のロケットへのデザインも様々に工夫しながら、自分だけのロケットをみんなが完成させました。
そして、グラウンドにでて、植松さんが用意していた発射台にロケットを取付け、2人ずつ順番に打ち上げをしていきました。準備完了のレバーを押して、全員でカウントダウン。5・4・3・2・1・発射、大歓声が上がります。空高く飛んで、上空で逆噴射、パラシュートを開いて降りてきました。順番待ちをしている時の不安な気持ちから一転、自分のロケットが見事に飛び立った時の喜びと感動に、子供たちの笑顔があふれていました。
植松さんは、作り方は教えないから、自分達で考えて作ってください、と言います。「失敗する事は恥ずかしい事ではありません、悪いことでもありません、失敗したらやりやりなおせばいいんです。自分で考えて、自分でしらべて、自分でやってみて、そこから学んでください、と言います。人のやっている事を見たり、聞いたりする事も大切です。やった事が無い事を楽しんでやり、あきらめずに、工夫をしてください。わからない事をそのままにしなければ、必ずできるようになります。失敗をしたら、じゃあどうすればいいのかな、と考えてください、そうすれば失敗は楽しくなります。」
植松さんの感想の中で、印象に残っていた言葉があります。「平岩小中学校のみんなのロケットをつくるスピードはとっても速かった。90分作っても完成しない学校もあるのに、みんなは45分で終わって、自分達のロケットの装飾やデザインを楽しむ事ができた。それは、みんながお互いに聞いたり、教え合ったり、助け合ったりして作ったからだ。」 ロケット作りは個人作業だけれど“助け合い”、“教え合い”、“学び合い”が、チームとして個人の力を引き上げて行くという事を改めて学びました。
今回は「日本のもの造り哲学」です。平成20年7月度の課題図書です。
1.はじめに
本書を読んで、戦略的な考え方の必要性を改めて感じました。景気の動向や経営環境の変化に右往左往すること無く、5年先10年先を考え、少しのことではぶれない筋の通ったものの考え方や戦略を持つためには、本書にあるように歴史や地政学を踏まえ、本質的な考察と基本的な論理に基づいた戦略が必要であると思いました。少子高齢化、環境問題、新興国の経済発展と追い上げの中日本のモノづくりがどうあるべきかというしっかりしたビジョンが必要だと思います。
本書の中で、現場の組織能力や競争力と会社の収益力を重層的に捉えて、それぞれについて分析をし、個別の課題を明確にしてあることが非常に参考になりました。“擦り合わせ大国日本”として「もの造り能力」を鍛えてきたことが、これまで日本の競争力を支えていて、収益力とは切り離して評価しなくては本質的な課題は見えてこないということがわかりました。
2.もの造り現場の組織能力
もの造りの組織能力ということの定義と中身が明確に記されていて大変よく理解できました。もの造りの組織能力とは、効率的なオペレーションを安定的に実現していくことを可能たらしめる能力のことで、組織能力を発揮するための手法として、製造業としては基本となっている5S、作業の標準化、TQC、改善活動等の個々の仕組みが束となって全体として、企業独自の「ルーチンのシステム」すなわち「しくみ・仕掛け」の集大成になっているということを理解して、これらを地道に磨いていかなくてはいけないということが改めてよくわかりました。トヨタという会社は、規模からいっても業態から言っても製缶業を営む当社のモデルとなるのかと思っていましたが、常に進化する仕組みや作業の標準化によって改善を固定し、組織のメモリーに改善内容を保持するメカニズムなど、ベストプラクティス企業として“まね”をすべき点がたくさんあることがわかりました。自社においては、仕組みを整えていくと共に、考え方や意識を定着させていきたいと思います。 “能力構築に終わりなし”の精神で!
3.戦略構築能力をもった強い本社
製品を“いかに作るか”は得意だが、“何を作るか”を考えることは、難しいことです。弊社の営業は、自社の製品や技術を売るのではなく、御用聞きです。そもそも自分も含め幹部が自社の組織能力を生かす事業や市場を見つけるための戦略構築能力を養っていかなくてはいけません。事業の絞り込みや新事業の開拓を行うために、自社の掘り下げにより課題や強みを再認識し、改めて顧客の視点でマーケットを見直していきたいと思います。戦略構築を行うために必要なこととして、今後取り組んでいきたいことを3つあげます。①自社の組織能力の種目と合致するベストプラクティス企業を見つけてそこから仕組みや製品を学ぶ、②深いところからのブランドの構築、要素技術化の段階からブランド性のベクトルをあわせた商品を開発する。このためには、客先との連携を密にして、客先の困りごとの解決や提案を行う。③専門企業によるネットワークを形成し、その技術分野や市場の重なるところで新たな強みを発見し、魅力的な事業や市場を見つけ出す。産業横断的・業際の分野でチャンスを発見する。
これまで300以上の事業を立ち上げたある発明家は次のように言っています。起業を行うときには、“得意”と“儲かる”重なる分野でやりたがる人が多いが、あまりうまくいかない。“好き”と“いいこと”が重なる分野で発想する方が良い。
“こころざし”で異業種の皆さんと“ワクワク”するよう製品や事業の着想をうみだしていきたいと思います。 以上
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