こころざし課題図書(平成21年7月度)
“こころざし”平成21年7月分課題レポートは、農業が日本を救う/財部誠一氏著 でした。 その時に提出した私のレポートを以下に掲載します。
1.農業が日本を救うとは?
日本は、あまりにも中央集権が進み過ぎ、格差が拡大しすぎたのではないだろうか?国全体が一つの目標に向かって力を集中させ、効率を追い求めるときには有効だったかも知れない。しかし、経済性の追求だけではなく、一人一人の精神的な豊かさも求めるようになってくると、多様性が大事になってくる。全国統一の基準ではなく、各地域の特性を生かす発想の豊かさとが構造転換が求められてきている。経済性の尺度以外に、さまざまな視点で地域の資源を見直す時期が来ているのかも知れない。
食糧問題、エネルギー問題等も、持続可能な社会構造や経済活動の在り方を考えると根本的に見直さなくてはいけないような気がする。地域の資源を生かす産業としての農業、林業、水産業を再度見直して、他の産業との連携を図りながら、活用をすることが地域経済の活性化にもつながっていくはずだ。
ただし、指摘されているように、農業活性化のためには、強い「経営意思」と優れた「生産技術」をもった農業生産者に土地を集約するなど、制度・仕組みを変えなくてはいけない。そのためにも大きな画を描く必要があるのでは、ないだろうか?
2.政治力不足、国家100年の計の不在
日本の経済は、どういう方向へ向かうのだろうか?日本の未来で確実な事は少子高齢化だ。このままでは、国内マーケットの縮小は間違いない。しかし、国内産業の力が弱い場合は輸入品に押されて、マーケットを広げられないということになっている場合もある。農業はその典型ではないだろうか?輸出産業を助けるために一次産品を輸入するという側面があるとも聞いた。
すべてのことを国内だけでまかなえるわけはないので、貿易は必要だろう。何を輸出し、何を輸入するのかは、国や国民を守るという視点からも考えるべきものではないだろうか?少なくとも生活の根幹を支える“食”の問題に関して“外国頼り”というのは、あまりにも政治的に無頓着すぎる。農業は国策的に強い産業にすべきだと思う。
現在の農地法により生じている土地活用の停滞や、農協の支配など、現実的な多くの問題点はあるかと思うが、国家の将来像を描きながら、農地解放に匹敵する大きな改革を行うのが、政治の責任ではないだろうか?
補助金漬けにし、農地の流動化を阻み既得権を守ろうとするエゴを放置するような政治では意味がない。もっと問題点を公にし、タブーをなくし議論を行うような政治を求めたい。
3.顧客・消費者のためにという視点
食生活の変化から、米の消費量が激減してきたのに、農家の保護を続けてきたために、規模拡大や他の作物への転身が進まなかったとある。どの産業でもマーケットの要求から離れて生産者の都合のみで、物を作っても売れるはずがない。行政や全農などの消費者感覚から離れた膠着した組織が介在していることの弊害が出ていると思われる。マーケットの声をダイレクトに反映させ、競争原理の中で創意工夫をする仕組みを組み込んでいかなければ、品質やコスト面で本当に消費者のためになる食品づくりから遠ざかって行くように思われる。
4.農商工連携
農商工連携ということが盛んに言われるようになってきた。そもそも事業は物を作って売るところまで行って完結だと思うが、それぞれの分業が進みすぎると需要があるかどうかということを差し置いて、それぞれの都合で動いてしまうことも出てきてしまう。地域経済を活性化させるためにも、地域で経済をしっかり循環させる仕組みを業種業態を超えて組み上げていかなくてはいけないと思う。野菜工場では、そのことを念頭に置いて、事業化の検討を行っていきたい。
農業の課題は、たくさんあります。 農地法の問題、農家の所得の問題、新規参入障壁の問題、さまざまな問題を抱え、今TPPの問題も迫ってきました。 農業の問題は、命の根源にかかわる問題であり、社会の基盤の問題ですから、もっと、真剣に正面から議論をすべきだと思います。 野菜工場研究会でも多くの方々を巻き込み、根本的な問題も含め議論をしていきたいと思います。
以上
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