社員への手紙 その21
今回は、平成15年5月30日に書いた6月度の手紙です。
毎日雨が降り続き、ちょっとした晴れ間もとても気持ちよく感じます。台風一過、大量の雨と風を伴った台風でしたが、湿気を一緒に運んで行き、しばしの間でもカラッと晴れて欲しいものです。
4月と5月は当社にとって大変厳しい月でした。今期に入って以来、芳しくなかった業績がこの2ヶ月で更に落ち込んでいます。この時期、どの産業もどの地域も厳しいという話を聞きます。全世界的な様々な不安要因が影響しているのかもしれません。
しかし、その中で全ての会社が、何とかしようと努力をしています。そして、我が社も含め生き残ってきた会社は、なにかその理由をもっているはずです。我が社もお客様への緊急の要求に対応するなど、様々な要望に応えていくことで、必要とされ、仕事を続けてくることが出来ました。また、幸いにして経済が伸びている時代には設備投資も盛んに行われ、一生懸命応えていくことで成長してきました。しかし、経済が収縮し、設備投資が控えられ、すべての企業にまわるだけの十分な仕事量がなくなってきた現在、企業に求められるものも非常に厳しくなってきています。
こういう時期にこそ、一致団結して、全員が危機感をもって、乗り切っていかなくてはいけません。会社を強くしみんなの生活を守っていくためには、全員が助け合い協力しあい、時にはみんなで辛抱をしていかなくてはいけません。逆に考えると、変化した厳しい環境に対応し生き残っていくための仕組みと体力を作るチャンスかも知れません。
お客様も大変厳しい競争の中を生きています。特に食品製造会社は、安心・安全な食品や食材を製造し、消費者に届けることを強く求められ、会社のすべての業務内容と設備がそれに対応できるように変わりつつあります。我が社がそれにどう貢献できるのかを考えていかなくてはいけません。
環境の問題、景気の問題、設備の問題、メンバーの問題、お客様(?)の問題、まわりに問題の原因を探し、そのせいにしていたらきりがありません。そうではなく、本当に良い物を求めるお客様に応える品物・サービスを作れる体制になっているのか? 技術向上に努めているのか? その目的のために力を合わせる思いを持っているのか? を自らに問い掛けることが大事だと思います。 委員会で決められたことを一つひとつ守っていくこともそのことにつながっていきます。体が目覚め、すぐ体が動き出すように朝の体操をしっかりやろう、会社の中をきれいにし、吸わない人に迷惑をかけないようにタバコは決められた場所で吸おうなど、どれも小さいけれども、非常に基本的で大事なことです。
物作りを仕事としている私たちは、基本的なことを徹底して行うことから始め、より高いレベルを目指していかなくてはいけません。本物を求め、ムダをなくし、より高い品質のものを作っていくために全員で努力をしていきましょう。
以下は、賞与支給に当たり、明細書に同封した文章です。
毎月、その時々に私の考えていること、皆さんにお伝えしたいことを文章にして、給料明細と一緒にお配りしています。今回は、今年度の夏季賞与の支給にあたり、一言付け加えさせて頂きたいと思います。
昨日6月25日(水)に就業時間中の貴重な時間を使って、我が社の現在の経営状態を説明し我が社の会計年度末である9月までの3ヶ月間にやるべきことの確認と協力のお願いをしました。
信用力や技術力とも高いものをもっている我が社ですが、売上げ規模と従業員数にふさわしいだけの組織的な運営や管理が出来ていません。我が社はかなりの潜在力を持っていますから、全社で一丸となってやるべきことを当たり前にやっていけば、きちんとした利益を生み出せるはずです。個人的な都合やわがままにこだわって本当に大事なことを忘れること無く、我が社の社員全員が会社の競争力を伸ばすことに努力し、一人ひとりの技術力を向上させ、利益を出し、毎日の仕事にやりがいを感じられるようにしていきたいものです。
今期、今までのところ残念ながら非常に悪い業績です。夏季賞与も1ヶ月の給与の5割しか出すことが出来ません。良いときには、みんなで喜びを分かち合いましょう。しかし悪いときにはみんなで我慢をしていくしかありません。厳しい時期ですが、みんなで協力し、乗り切っていきましょう。もし、各種ローンを組んでいるために、支払いが出来ない方がいらっしゃったら、ご相談ください。今回の特別な事情を考慮し、9月末までの返済をお約束いただいて、会社からの貸し出しを行います。
一人ひとりの努力を全体の成果に結びつけるために、我が社がもっともっとレベルを上げていけるように、ともに頑張っていきましょう。
敬具
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