社員への手紙 その27
今回は、平成15年12月1日に書いた12月度の手紙です。
拝啓
寒冷の候、年末に向かい慌しい毎日をお過ごしのことと思います。出張や休日の出勤が多くご本人はもちろんのこと、ご家族の皆様にも大変なご負担をおかけしていることと思います。風邪など引かないようにご自愛ください。
現在はこれまで誰も経験したことが無いような大変な不況だということが言われ続けてきました。しかし一方では、これは不況ではなく普通の状態だ。という意見もあります。今は不況だが、これを乗り越えるとまた景気はよくなるという風に考えると、大きな間違いを起こすことになりかねません。
景気に関係なく、少子高齢化という問題は間違いなく進行していきます。特に大量の食糧・車・生活消費財・住居などを必要とする若年層や勤労世代は2020年までに3割減るという統計が出ています。
あらゆるものを今までのように作りつづけ、消費していくことは不可能です。高度成長の時期は、どんどん仕事が入ってきて、大勢の人間で次々に仕事をこなしていけば右肩上がりの成長が望めました。
しかし、景気が良くなる事を期待して今までのやり方を辛抱して続けていけば何とかなる、という考え方を変えていかなくてはいけない時期に来ています。
我が社の中でも世間と同じことが起こっていると考えなくてはいけません。我が社がお客様から評価を受けている点に“動員力”があります。特に工場の運転休止期間中に短い工期で、効率よく仕事ができるという点が評価されています。受注量が多く確保できているときには強みとなっていましたが、一方で設備投資が減り、仕事量が減ってくると人が多いということは、また弱みにもなりかねません。
残念ながら我が社の人件費率は非常に高くなっています。社外に依頼する仕事の割合、外注比率が高くなっていることも拍車をかけています。昨年の我が社の外注費は全体の売上の3割に達しています。この点をどう解消していくのか、全員で考えていかなくてはいけません。
一般的に考えられる方法には以下のものがあります。①他が出来ないような技術や製品で勝負し、一人あたりの付加価値をあげる。(全員が自分の仕事の能力を上げる努力と共に仕事の改善を継続して行う)②製造原価をできる限り下げる。(一人が何役もこなし、外注を減らし、社内で行う仕事の比率を増やしていく)③固定費を削減する(少数精鋭・人件費の削減)
もう一度経営指針書を見直し、自分がすべきことを振り返ってください。
全員の雇用を守るためには、賃金の見直しも含めて検討することも考えなくてはいけません。大変厳しい時代ではありますが、前向きな努力を重ね、頑張っていきましょう。
今年も残りわずかとなりました。一致団結して良い年を迎えましょう。
敬具
自分で読み返しても、年末に向かい、気を引き締めたいと考えながら、書いている事を感じます。 今更ながら、危機感が伝わってきます。 いつも危機感を感じながら経営をしてきました。 それを社員の皆さんに伝えるすべを知らず、ひたすらストレートに語りかけてきたような気がします。
以上です。
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