こころざし課題図書(平成22年8月度)
“こころざし”平成22年8月度の課題図書は、生物と無生物のあいだ / 福岡 伸一 著でした。 その時の感想文を掲載します。
今回の課題図書は、読み物として非常に面白く、二つの面で興味深く読める本だった。一つは、文章の巧みさである。その場にいる様な気にさせる細かい描写は、情景が目に浮かぶようでぐいぐいと引き込まれた。もうひとつは分子生物学の世界の出来事を単なる時系列、歴史上の事実としてではなく、登場人物の思いや感情を感じさせながら描いている事。とても面白く読ませてもらった。
ただ、レポートを書くとなると話は別で、何回か読み返しながら、自社の経営やこころざしの活動にどう引き寄せて考えるかということに頭をひねった。
1.動的平衡について
人の体のタンパク質は、つねに置きかわているという。体のありとあらゆる部位、臓器や組織だけでなく、骨や歯ですら、絶え間ない分解と合成が繰り返されている。人間という肉体がダイナミックな流れの中にあるという。もっというと、肉体という個体自身が外界と隔てられた個物としての実在ではなく、密度の高い分子の「淀み」でしかないという。
世の中の全てのものが、形を変えながら存在するだけで、全ての個体の分子レベルでの総数やエネルギーの総量に変化はない、という事も言われるが、まさにその事の意味がこの動的平衡ということなのかと思う。
私達の体自身が動的平衡のもと、常に流れの中にある存在だとした場合、私達の個人個人が持つエネルギーの違いや活力の差はどこから生まれるのか? 個体自身がもともと持つエネルギーにそれほど大きな差があるとは思えないが、それをつき動かすなんらかの原動力により生み出す力には、なぜか大きな差がうまれる。
思いや気というものは、確かに存在しているのだろうと思う。
“生命とは動的平衡にある流れである”との文章があるが、もっと広く解釈をすると、この世の中にあるすべてのものが動的平衡の中にあり、固定され安定している物など何もないということではないか?
そう考えると、上昇する動きや変化をおこすために、常にプラスのエネルギーを投入していくことが、大事な事であろうと思う。
2.チャンスは準備された心に降立つ
以前、グッドラックという本がベストセラーになった事がある。
チャンスは、万人に平等に降り注ぐ。しかし、それを生かせるか生かせないかは本人次第で、日頃から土を耕し、種をまき、肥料や水をやっている等の準備をしている人だけがチャンスを生かせるというストーリーだった。まさに、日頃から問題意識を持ち、アンテナを張り、準備をしている人のみがチャンスに気付き、チャンスを生かせるのだと思う。
3.生命を燃やす
福岡氏の言うとおり生命は動的な平衡状態の事であるとすれば、常に変わり続けるという事が生きるということかと思う。近年上昇や成長・発展よりも安定や平穏を求める傾向が強いように思うが、“生きている
生命は絶えずエントロピーを増大させる“ということからも、成長発展を目指す方が自然なことのように思う。短い人生の中で、生命を燃やし続けたいと思う。
すべては、必然と考えると、何事も前向きにとらえられる。 すべてのことは、なにか意味があって起こっている。 まるで意志があるかのごとく、大きな流れ沿って動いている。 そうであるならば、個人的な感傷や感情に流されず、その流れや大きな法則に身をゆだねてみるのも、一つの生き方だと思う。 自分の思いや願いを大きく広げて細事にこだわらず生きていく事ができるようになればと思っている。
以上です。
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