自分史(その28)、エジプトその8
プロジェクトの引き渡しには、必ず保証運転が必要になります。
プラントが完成し、運転調整をした後に、保証運転の開始を宣言し、プラントが契約上の性能を満たしている事を保証運転で実証するものです。
自分達で運転をして、その生産能力や各種パラメーターが契約した値に入っている事を示さなくてはいけません。 かなり余裕のある数字を提示しているはずですから、容易に達成できるはずですが、そう簡単にはいきません。
お客様側は、自分達だけの運転に不安を感じていましたので、少しでも日本人の滞在を伸ばしたいと考え、運転への協力はしてくれません。 それだけではなく、保証運転が継続できないように、陰で工作もしていました。 そういう中での運転ですから、プラントの運転自体は、2交代での12時間シフト1週間の連続運転ですが、プラントを運転する以外にもいろいろなことに気を配りながらのオペレーションとなりました。 心身ともにへとへとになりながらの保証運転でした。
それ以降も保証運転を行う機会がありましたが、こんなに苦労した運転はありませんでした。 ふつうは、お客様に運転指導もかねて協力をしてもらいながらの運転ですので、一体感もあり、お互いに保証運転完了を祝う雰囲気の中で行いますが、この時は孤立した状況でした。
石灰石焼成炉は、この時が最初で最後の建設でした。 よくあれだけのスタッフで運転できたものだと思います。 また、エジプトでのプラントもこれ以降はありませんでした。 精神的なストレスも大きかったかと思いますが、1人1人の頑張りは素晴らしかったと思います。
とっても貴重な経験をさせてもらいました。 今振り返ると、なにものにも代えがたいものだったと、感謝しています。
以上です。
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