震災復興にドラッカーの知恵を活かせ
昨日の日経新聞の記事に「震災復興にドラッカーの知恵を活かせ」という文章が載っているのを読み、感銘を受けましたので、転記します。
記者からの質問にドラッカー研究所のリック・ワルツマン所長が答えたものです。
――なぜ今、日本市場を重視するのですか。
「日本は大地震と津波、そして原子力発電所の事故という前代未聞の惨劇に見舞われた。どこへ向かうべきか、どう社会を再構築すべきか、日本はいま熟考の時期にある。ドラッカーが常に大切にしていたのは『健全な社会』の構築だ。そのために効果的で責任を果たす組織が必要だと説いた。また『一人ひとりが公の善のために具体的に行動することが世の中を変える』と世界中に伝えてきた。今、センターを作るなら、日本をおいて他に適した国は考えられない」
「まさに時機が到来したといえる。ドラッカーは6年前に亡くなったが、日本にはドラッカーを学ぶ社会的なニーズがある。ドラッカーブームで著作や関連本が読まれているのはうれしい状況だ。日本側に興味があるならば、我々は彼が提唱してきた価値を提供する用意がある。大事なのは我々が日本の人々の役に立てるかどうかだ。答えがイエスなら、実行する好機だといえる」
――ドラッカー氏が健在だったら、日本の政府や東京電力のマネジメントをどう評価したでしょうか。
「(政府や東電に)批判があるのは承知している。だが、ドラッカーがもしこの場にいたら『どんな学びが得られるかを真剣に考えるべきだ』と言うだろう。批判ではなく事態を改善していくことが大事だ。そして(事態が悪いなかでも)良い事例に目を向けただろう」
「政府は別として市民レベルや民間企業では素晴らしい対応が見られた。ドラッカー研の理事である飯島延浩・山崎製パン社長と話をしたが、同社の震災対応には目を見張るものがある。物流網を駆使し、被災地に大量の物資を迅速に提供した。マネジメントが機能した好例といえる」
――日本人の“強み”とは何ですか。
「1959年に初来日した時、ドラッカーが心に深く刻んだことがある。それは日本人の精神力の強さだ。敗戦後の悲惨な状況にもかかわらず、日本人は 『自分が社会に貢献する』という意欲にあふれていた。そのことにドラッカーは感動し、こう予言した。日本は立ち上がり世界有数の経済大国になる、と」
「日本の金融制度や経済政策を研究した結果としてドラッカーがそう確信したのではない。市井の人々の態度こそが根拠だった。1990年代の『失われた10年』についていえば、ドラッカーは日本人がかつての精神を取り戻すべきだと考えていた。今回の恐ろしい災害は、日本人が精神の力を再発見する好機だ。悲惨な状況から何らかの良い結果を生みだすことが必要だ」
――「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)は読みましたか。
「正直に言って、ドラッカーは『もしドラ』を気に入ったに違いない。もしドラは1つのイノベーションだ。マネジメントという言葉を聞いたことがない読者に、道具としてのマネジメントの考え方を提供した」
「野球のマネジャーがテーマなのもいい。ドラッカーはテレビを持たないことで知られていたが、野球が大好きで、ワールドシリーズの1週間だけはテレビをレンタルして野球をみていたんですよ」
特に、“日本の強み”というところが、印象深かった。 それだけに、政治の混乱が腹立たしい。
以上です。
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